Study of S=-2 Nuclei with Emulsion=Scintillating-Fiber Hybrid Method (KEK-PS E373)

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KEK-PS E373は、S=-2の世界を探るための実験である。

1977年、R.Jaffeは、Λ-Λ間には ハード・コアが存在せず、1つのbagに入った6 quark(uuddss) stateである H-ダイバリオンが強い相互作用に対して安定に存在しうるという理論的予言を 行った。
6 quark(uuddss) stateとしては、ΛΛ、Ξ-p、Ξ0nと いった2バリオンが知られているが、これらの2バリオンを合わせた質量よりも Hダイバリオンの質量が軽い可能性があるということである。
その後、多くの実験が行なわれたにも関わらず、H-ダイバリオンの存在は 確認されていない。
一方、1980年代に行なわれた実験(KEK-PS E176)では、 強い相互作用に対して安定なΛΛ核の存在が確認され、 2種類の解釈を残すものの核種の同定がなされた。 右図はE176実験でエマルション中に見つかったΛΛ核で、 2回の弱崩壊が見えている。 測定された質量からH-ダイバリオンの質量の下限値が設定されたが、 Λ-Λ間相互作用が引力なのか斥力なのかは、 核種の不定性のために、決定されなかった。 KEK-PS E373は、これまでの実験の10倍の統計でS=-2の原子核を研究するために、 高エネルギー物理学研究機構 12GeV陽子シンクロトロンにおいて、 原子核乾板中にS=-2核を探す実験であり、Hダイバリオンの存否、 Λ-Λ間相互作用、Ξ--N間相互作用などの問題に、新たな、 そして決定的な情報を付け加えることができると期待される。

この実験では、1.67GeV/c K-ビームをダイヤモンド標的に 入射し、準自由弾性散乱 'p'(K-,K+-によって S=-2であるΞ-粒子を 生成する。このうち、エマルション中に突入したΞ-粒子が静止し、 原子核に吸収され、S=-2核が生成されるイベントを探す。 (K-,K+)反応については、 マグネット・スペクトロメータ系により同定する。 エマルションの上下流におかれたシンチレーティング・ ファイバ・ブロックで、反応のトポロジーを"見る"ことによって、 イベントの取捨選択を行なう。 Ξ-のエマルションへの突入点、角度は、このために開発された シンチレーティング・マイクロ・ファイバー・バンドルを用いた 高精度飛跡検出器によって測定された。 このようにして、エマルション中にΞ-のトラックを探し、 さらにはS=-2核の生成、崩壊を探すのである。ファイバ・ブロックは S=-2核からの崩壊粒子であるπ-とpのエネルギーを測定するのにも 用いられる。このようにエマルションと他の検出器を組み合わせて、 単体ではバックグラウンド・イベントとリアル・イベントの区別ができないという エマルションの欠点を補い、高い位置分解能(1μm以下)を生かす方法を、 ハイブリッド・エマルション法という。

'98年から2000年にかけて69リットルのエマルション照射が行なわれ、 解析が進行中である。この中に複数個のダブル・ストレンジネス核を見つけ、 Λ-Λ相互作用の問題等に結論をだすことが期待される。

What's New

2001/10/9
"NAGARA"イベント発見の記事が10月9日(火)の中日新聞に掲載されました。 (アメリカの攻撃のニュースが無ければ一面に載る予定だったそうです)
2001/9/25
"NAGARA"イベントについての論文が Physical Review Letters 誌に掲載されることが決まりました。
2001/7/26
シンチレーティング・ファイバー・ ブロック検出器についての論文が Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 誌に 掲載されることが決まりました。

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(ichikawa@nh.scphys.kyoto-u.ac.jp)