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FMラジオ放送はステレオですが、その仕組みを知っている人は少ないようです.
みなさんが聞いているFM放送は;
- まず送りたい信号左右をL、Rとします。この信号は音声ですので
可聴周波数帯2020kHzをカバーする必要がありますが、20kHzまで
聞ける人はまれです(テレビがキーンとうるさく感じる人は17kHzが
聞けているはずです)。私も昔はうるさかったけど最近は年で劣化して
なにも感じません。
ちなみに、自分のステレオで市販の基準周波数用CDを買ってくると自分の可聴限界
は試すことができますが、やらない方が無難です。よく聞こえなくなると
人間音量を上げるので、ハイパワーの高周波を突っ込むことになり、
安物のステレオではあっというまに高音調スピーカー(ツイーターとよぶ)が
飛びます。
- L、Rの信号の帯域を15kHzまでで制限します。まー普通に聞く分には
影響ないでしょう。
- L+RとL-Rの信号を作ります。
- L-Rの信号をつかって38kHzの周波をもつキャリア信号をAM変調します。
これによりAM変調ですから38-15=23kHzから38+15=53kHzまでの帯域をもつ
信号になります。
- 19kHzの周波数の信号(パイロット信号)とL+RとAM変調されたL-Rの信号を
足します。こうすると 20Hz-15kHz,19kHz,38kH-53kHzという帯域をもった信号
(ステレオコンポジット信号)ができあがります。
- このコンポジット信号が、L+Rを基本にして19kHzがないとモノラル、
あるとステレオ放送となる基準信号です。
- これをつかって例えば81.3MHz(JーWAVE)の搬送波をFM変調
します。周波数の粗密が変調の基本なので雑音の影響を
受けにくく品質がよいのが特徴です。
ここで数式;
とおいて
と周波数変調します。すると変調された波vm(t)は
これはベッセル関数で展開できて
とすると
となり、帯域は無限に広がることになります。
pは53kHまで広がりますが,kをに限ることにします。たとえば
mfが1程度、すなわち
が成り立つ程度だとおもえば
J0(m)=1、J1(m)=1/2、J2(m)=1/8なので
で近似してしまいます。
すると実用的には帯域幅は
あればよいのですが
実際に200kHzとって150kHzまで変調に利用しています。
逆に言うとmfを大きく(1.5ぐらい)しても大丈夫なわけです。
モノラルなら15kHzですからmfは5まで広げられます。
この200kHzはとなりの局までの間の周波数差の最小値にもを示します。
逆に言うとここまではフルに使ってよいわけで、それを利用したのが
FM文字多重放送です。これはL-Rをのせた38kHzのバンドの上に76kHz
の搬送波を載っけてこれをLMSK(level controled minimum shift keying)
というわけの分からないデジタル変調をかけます。変調後の周波数帯としては
65-88kHzぐらいに広がります。文字情報を階層化されたデータパケット
にして誤り補正用パリティビットをくっつけてます。これを010101のシグナルにして
76kHzを周波数変調します。さらに音声信号の強弱にあわせて振幅をかえます。
これにより音声←→文字の間の影響をなくしているようです。
互いの周波数バンドの漏れ込みはマルチパスひずみ(建物反射などで位相の違う
電波が混じり込み干渉やビートをおこす。テレビのゴーストとおなじ)
などでよく起ることなのでこのような処置が必要です。
よって現在は200kHzのなかの196Hzまで使ってしまっているようです。
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2000-02-20