S-2S Spectroscopy
at J-PARC
世界最大強度のハドロンビームが拓く、マルチ・ストレンジネスの世界
Unveiling multi-strangeness systems using the world's most intense hadron beam
and the dedicated S-2S spectrometer designed by Kyoto University.
The Two Pillars
Unmatched Intensity & Precision
High Intensity Beam
J-PARC K1.8 Beamline:
世界最大強度のハドロンビーム（K 中間子ビーム）を利用可能です。 これにより、生成断面積の小さな二重ストレンジネス系（グザイハイパー核やダブルラムダハイパー核）の研究が初めて現実的な統計精度で可能となりました。
S-2S Spectrometer
Strangeness -2 Spectrometer:
京都大学チームが主体となって設計した、S = -2 系物理専用の高分解能磁気分光器です。 大強度ビーム下でも動作し、グザイハイパー核の欠損質量分光において世界最高レベルのエネルギー分解能を実現します。
Scientific Goals
マルチ・ストレンジネス核物理の展開
Ξ Hypernuclei
グザイ (Ξ) ハイパー核分光:
12C(K-, K+)反応等を用い、Ξ 粒子が原子核に束縛された状態を欠損質量法で探索。ΞN 相互作用の引力・斥力の性質を決定します。
Ξ-Atom X-ray
グザイ (Ξ) 原子 X 線分光:
Ξ が原子軌道を遷移する際に発する X 線を測定。原子核表面付近の遠距離における ΞN 相互作用や、Ξ 粒子の吸収過程を探ります。
ΛN Interaction
ΛN 相互作用と CSB 研究:
J-PARC において (π+,K+) 反応、(π-,K+)反応等による高精度 Λ ハイパー核測定。特に ΛN 間における荷電対称性の破れ (CSB) を究明し、強い相互作用の理解を深めます。
Facility & Setup
実験施設と分光器セットアップ
The S-2S Spectrometer System
Figure: Photograph of the S-2S spectrometer at J-PARC K1.8 beamline.
S-2S (Strangeness -2 Spectrometer) は、ストレンジネス量子数 S=-2 の物理を探求するために開発された専用の磁気分光器です。 京都大学の研究チームが主体となり設計・建設を行いました。
- ➤ 高分解能 (High Resolution): Ξ ハイパー核の束縛状態を分離・識別するため、世界最高レベルのエネルギー分解能 (2 MeV FWHM) を目指して設計されています。
- ➤ 大強度ビーム対応 (High Intensity): J-PARCの大強度K中間子ビーム下での高計数率環境に対応するため、高速応答の検出器群を備えています。
- ➤ コンパクト設計: K1.8ビームラインの限られたスペースに設置可能なよう、また短い飛行距離で K 中間子の崩壊を抑えるよう最適化されています。
Project Roadmap
実験の進展と将来計画
Beam Commissioning
ビームを用いた S-2S 分光器のコミッショニングを開始。
Physics Run: E70 & E96
12C(K-, K+) による Ξ ハイパー核欠損質量分光 (E70) および Ξ 原子 X 線分光 (E96) のデータ取得を完了。
J-PARC E63 Experiment
CSB研究のための 4ΛH(1+) 状態の高精度ガンマ線分光。
Next Phase Experiments
E75 Phase 1 (A = 7 Ξ ハイパー核分光), E94 (CSB 研究), E90 (ΣN カスプ探索) などを順次展開予定。
