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レベルシフトと直結回路


 
Figure: エミッタ接地を並べた直結3段増幅器(左上)、抵抗分割で直流レベルシフトを おこなったもの(右上),定電圧源でレベルシフトをおこなったもの(左下)、 npn-pnp-npnの組合わせでレベルシフトをおこなっているもの(右下)
\begin{figure}
\epsfxsize=0.7\textwidth
\centerline{\epsffile{levelshift.ps}}\end{figure}

増幅回路を一段ずつCで分けていくと設計がしやすいですが、Cの周波数 特性をもろにかぶることになります。また直流の増幅はどうやってもできません。 図の例でも分かるように。各段を単に直結にすると電位がどんどんずれていって 高い電源電圧が必要になり、また耐圧の高いトランジスターが必要になるので 現実的ではありません。そこで直結にするためには直流レベルをシフト させてやる必要が生じます。誰でも思いつくのが抵抗分割でシフトさせることですが 分割分だけ利得がさがるのが問題です。またプッシュプル回路のバイアスには 使えません。そこで簡単にはダイオードやツェナーダイオードを用いることに なりますが回路設計の自由度がおちます。またツェナーは雑音も多く 小信号ではつかえません。そこで図の左下に示されるような回路を組みます。 IA=VBE/R1、 VL=(R1+R2)IA=VBE(R1+R2)/R1と抵抗の組合わせで 任意の電圧を産み出すことができます。

ほかにnpnとpnpを組み合わせても優れた直結回路(図右下)を作ることが出来ますが 集積回路上のnpnは性能が悪いので、強引なレベルシフトをやることが多いようです。 ステレオアンプの安いやつはいまやICですが、高いやつはバラのトランジスタで 組みます。こういうときはpnp-npnの混合回路が力を発揮します。 もちろん音の良いトランジスターってのもあるわけです。


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2000-02-20