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そもそも増幅素子であるトランジスターの裸の特性がわるいので
単純な増幅器はすべて歪みを持ちます。負帰還はこれらの問題を解決し
安定した性能よい増幅を行うための回路技術です。
まず、増幅度Aの回路を考えます。入力信号v1に出力v2を減衰器Hを通して混ぜたとします。
すると、もし出力と入力が逆相なら増幅器Aに対する入力viは
vi=v1-Hv2、v2=Hvi
同相なら
vi=v1+Hv2、v2=Hvi
従ってこの回路の増幅度Gは逆相(ー)、同相(+)それぞれ
G-=A/(1+AH)、 G+=A/(1-AH)
とかけます。これをそれぞれ負帰還(G-)、正帰還(G+)と呼びます。
一般に増幅器は周波数が高くなるとどこかで増幅できなくなりAが小さくなります。
正帰還の場合AH=1となる点でG+が発散することになります。これは回路が不安定になり
発振することを意味します。この事を積極的に利用したのが発振器です。
負帰還の場合はAHが小さくなってもG-が発散することはなく安定に動くことが期待できます。
負帰還でAH>>1とするとG=1/Hで、この回路のゲインはAによらず減衰度Hのみで決ま
ることが分かります。このことは又、温度などの変化でAが変動してもその変化は1/(1+AH)
に縮小されることも分かります。すなわち安定した動作が可能になるという事です。
実際には入力と出力が逆相の増幅器で出力を入力に抵抗を介して戻
してやるのが一般的です。
さてご利益を考えてみましょう。もともとの増幅器が素姓の悪いものだったと考えてください。
小振幅の時は無視できるが大振幅の時無視できない歪みが発生するとします。
ここで増幅率Gは一定で、かたや負帰還なし、かたや負帰還ありの回路を考えます。
負帰還なしでは
v2=Gv1+vnの歪み(vn)が乗ります。負帰還ありでは
v2=Avi+vn、
vi=v1-Hv2の関係があるはずでこれを解くと
であり、今G=1/Hとして比較すれば良いから
となり歪みはA/G、すなわち裸ゲインを削りこんだ分だけ減少していることが分かる。
実際この考えが成り立つのは増幅器の中断や終段の歪みで、入力段での歪みにはほとんど
効果がなくなることに注意する必要があります。
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2000-02-20