次に重要な回路はNANDと呼ばれるもので、ここにはマルチエミッタなる
回路技術が使われています。要するにコレクタの上に広めのベースを
つくりそのうえにエミッタを複数配備するものです。代表的な
回路例は図のBのようなものです。
どちらの入力もhighの場合、初段トランジスタはベース・コレクタ間の
順方向電流で2段目3段目をONにして出力はlowになります。
とちらかの入力がlowの場合はベース・エミッタ間が順方向になり
ます。これが許容ギリギリの0.2Vだとしても初段のベース電圧は
0.2+0.7=0.9Vです。2段目をONにするためには0.7+0.7=1.4Vが最低
必要ですから2段目はONになりません。
従ってこの論理は
さてもうご存じとは思いますが、あとはブール代数のみでどんな論理もできます。 NANDの出力を反転すればANDだし、入力を反転しNANDに入れればORです。 この回路のポイントは初段は変なかたちながら常にベース電流が流れていて そこの容量を満たす時間を気にしなくても良くなっているところで、 また、2段目のベースの容量を常に順方向で充電放電できるところにあります。 しかしながら出力の立ち上がりは出力抵抗RLと容量CLで決まります。 この時定数はRCの積で決まり5pF×1KΩとしても5nsecで、これでは700MHz ペンティアムなどでは全く使えません。これを防ぐには抵抗値を下げれば良く 100Ωにすると0.5nsecになりますが回路がちんちんに厚くなります。 結局能動抵抗のやっかいになることになります(図)。 これをトーテムポール出力と行って原理的には抵抗値をトランジスタとダイオードの 直列合成抵抗値にまで下げられて約20Ωぐらいにできます。
ここでダイオードは レベルシフトに使われています。抵抗をわざわざ入れないほうが早いのですが 入れないと相当高い電流が立ち上がり時に流れることになります。 これは電源にスパイクを発生させることになってとってもやっかいです。 これをふせぐために論理回路では石のすぐそばにパスコンとよばれる 0.02μF程度のコンデンサーを入れることが常識になっています。 また、回路基盤ごとに定電圧電源回路を設けたり、フィルターを入れることも 良く行われます。この辺はなくても動くものですが、一回トラブルと伝搬して 問題点の発見がとっても大変なので転ばぬ杖としてひたすらまじめにやることが 推奨されます。