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簡単な応用:ゲルマラジオと電話器


 
Figure: ゲルマニュームラジオ回路図。左はクリスタルイヤフォンの等価回路
\begin{figure}
\centerline{\epsffile{germa.epsf}}\end{figure}

LC共振の代表的なものとしてゲルマラジオを考えます。作ったことのある人は多い と期待したいところですが。放送は500kHz〜20kHzの周波数帯で放送局によって周波数 が与えられそれをAM変調して送り出されています。さて、アンテナにのった電波は LCでできた共振回路で周波数選別されます。 この回路の同調回路のインピーダンスは

\begin{displaymath}i\frac{1}{\frac{1}{i\omega L}-{\omega C}}
\end{displaymath}

で、共振周波数は $2\pi\sqrt{LC}$で与えられます。これが周波数選別の基本です。 この場合は直列共振の場合と異なって、共振点で開放状態になったのと同じで、 ダイオードに電気がながれやすくなるわけです。

ゲルマダイオードで検波すると片側だけになります。これの直流成分を除いてイヤー フォンに突っ込んでやります。イヤーフォンは通常、圧電素子(電圧がかかると体積の変わ る物質)でできたものを使用します。こいつは高い周波数についてこれないので、耳から見る とイヤーフォンからの音はローパスフィルタを通った可聴周波数帯のみになります。

Lは固定で300$\mu H$、Cは可変で最大300pFぐらいにとりますので周波数帯域は $f=\omega / (2\pi)$で、500kHz以上に合わせられることになります。となりの周波数の 放送局が混線することはよくあります。それはこの共振の幅の広さで決まってしまいます。 幅の広さは内部抵抗などいろんな要因できまり、幅のことをQ(quality factor)と よびます。このせいでゲルマラジオで聞ける周波数帯は非常に限られます。 Qについてはあとでもうすこし掘り下げる予定です。

さて、次に最後に電話の中身を考えてみましょう。 電話は、ベルが鳴り、ダイアルでき て話せて、聞くことができます。これを電線2本でやっているわけです。この仕組みは 電気回路の極致というべきもので勉強になります。では回路を見てください。


 
Figure: ダイアル式電話機の中身。speak:送話口、listen:受話口
\begin{figure}
\epsfxsize=0.8\textwidth
\centerline{\epsffile{tel.epsf}}\end{figure}

まず、電話線にはつねに電圧がかかっています。 電話が鳴るときは電話のフックは下りていて、外線からのシグナルは ベルに直結しています。このため、電話局からベルを鳴らして呼ぶことができます。 さてフックをとるとH1とH2がつながり電話回路に電流が流れます(これで電話局から もつながったことがわかります)。話すときはフックをあげて ダイアルを回すとD1とD2がバタバタしてダイアル信号を交換器に送ります。 これで電話が相手に繋がります。おもしろいのはコイル部です。これは自己トランス 見たいなもので、一部のコイルを逆巻にしてあります。これによって送話器でしゃべる 話し声は外には出ていきますが、受話器にいくものをキャンセルします。 自分の声が受話器から聞こえると人間、話し声を小さくするもので、電話の機能を 考えるとはなはだ都合の悪いものです(これを側音という)。この回路はその問題を 簡単に解決したものです。まー古いハイテクですね。


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2000-02-20