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サンプル&ホールド回路とサンプリング定理

AD変換を行うのには入力の波高を一時ホールドする必要があります。 これは一般にオペアンプを用いた積分回路を用います。(説明済) AD変換が一発でないかぎりなんらかの時間がかかります。flush-ADC を使ってもデジタル情報をどっかに動かして貯めるための時間が必要です。 測りたいものがパルスなら次のパルスまでの時間で処理する必要があります。 一定電圧ならのんびりやって精度を上げた方が徳です。 では時間的に変化する量を考えてみますしょう。

代表的なものはCDです。CDプレーヤーのカタログをみると4倍オーバーサンプル, デジタルフィルター内蔵などと書かれていますが、これはどういうことでしょう。 CDの標本化周波数は44.1kHzです。CDは一秒間に44.1k回、値をサンプリングし その値を16ビットでデジタル情報にしています。これは再現できる音楽の 周波数範囲が最大22.05kHzになることを意味します(山の上と谷のそこ)。 人間が聞こえるのは最大20kHzと言われてますからこれでOKです。 この事実はさらっとのべましたが大変重要な事実です。 一般にナイキストの法則と呼ばれていてサンプリングの周波数の 1/2までしか記録できないということを示します。 逆に言うと最大周波数の2倍の周波数でサンプリングするともとの情報は 完全に記録できることを示しています。これを標本化定理とよんでいます。 良く考えてみると22.05kHzの正弦波はもとの周波数の位相がちょっと変ると 山谷の記録はできなくなり元の波形の高さを見失うことになります。 しかしながら22.05kHzよりちょっとでも元の周波数より低かったら ちょっとだけ残る自由度が元の波形の位相をロックしてしまうので 22.05kHzが最大周波数(不等号)であることも容易に推察できます。

でもちょっと待ってください。もし22.05kHzの正弦波があってこれを CDで録音し、再生すると22.05kHzの矩形波がでてくることになります。 これのフーリエ級数展開は

\begin{displaymath}\Sigma^{\inf}_{m=1}\sin(2m-1)\omega_0/(2m-1)
\end{displaymath}

なので再生音には基本周波数の3倍、5倍…のノイズが出てきます。 その強度も1/3、1/5ぐらいでしか落ちていかないわけです。 これをサンプリングノイズと言ってデジタルとアナログをつなぐための もっともやっかいなものの一つです。 これは最高周波数出なくても起り、これらをカットするために えげつないフィルターを使うことになります。たとえば20kHzの 倍の周波数までに16ビットのLSB以下(これは量子化ノイズです) にしようとおもうと $20\ log2^{16}=96$ dBの減衰が必要で一素子当りは 6dB/octですから16段いることになります(16次のフィルターという)。 普通こんなのは無理で8次フィルターぐらいが使われています。それでも 位相特性はめちゃくちゃで、これはもちろん音質に悪影響を与えてしまいます。

これを防ぐために行うのがオーバーサンプリングという技術です。 これは44.1kHzのサンプリングで出てくるCDの波形をその4倍、8倍 などの周波数でサンプルしなおします。当然、間の値は補間して 求めるわけです。補間にはいろいろな方法があるようですがよくは 知りません。こうすると高次の周波数成分がどっかと落ちてフィルターの 設計が飛躍的に楽になります。

うーむ,まだアナログだなー


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2000-02-20