Drift chamber (DC) の各面で得られた測定座標から, 粒子の飛跡を求める方法を説明する.
トラックパラメータと測定座標
z=0 におけるトラッキング結果の粒子の位置を (x,y) , そのslopeを a=dzdx , b=dzdy と書く.
これらをまとめてパラメータベクトル θ と表す.
θ=xyab
i 番目の面の z 座標を zi と表すと, zi での粒子の飛跡位置 (xi,yi) は次のように表せる.
xi=x+azi,yi=y+bzi.
DCの各面はある軸方向しか位置が分からない.
i 番目の面の軸での測定座標を mi と表し, これらをまとめて m と表す.
各面の軸の角度を ϕi ( x 軸を基準に取って測る) とすると,
mi は (xi,yi) のこの軸への射影であるから, 次のように表せる.
mi=xicosϕi+yisinϕi=(x+azi)cosϕi+(y+bzi)sinϕi
ここで ϕi はwireの方向ではなく, その面が位置を測定する軸, すなわちwireに垂直な方向の角度である点に注意せよ.
以下の図では, +y を上向き, +z を画面奥向きに取り, 右手系を採用している.
灰色の線はsense wire, 青色の矢印はsense wireに垂直な方向の測定座標 mi を表す.
実際のDCでは, hitしたwireのIDとdrift timeが測定される.
drift timeをdrift length di に変換し, hitしたwireの測定軸上の位置を wi とすると,
粒子の通過位置の候補は
mi=wi+sidi,si∈{−1,+1}
と表せる. si は粒子がwireのどちら側を通過したかを表す符号である.
drift 時間だけからは si を決められないため, 各面について2つの mi が候補となる.
この曖昧さが, 後で扱うLeft-Right ambiguityである.
m は行列 H を使って次のように表せる.
m=m0m1⋮mn−1=cosϕ0cosϕ1⋮cosϕn−1sinϕ0sinϕ1⋮sinϕn−1z0cosϕ0z1cosϕ1⋮zn−1cosϕn−1z0sinϕ0z1sinϕ1⋮zn−1sinϕn−1xyab=Hθ
最小二乗法によるトラックフィット
DCは有限な分解能を持つため, これが厳密に成り立つことはなく, 最小二乗解 θ^ を探すというのが現実の操作になる.
ここでは, まず各面の測定分解能が同じであると仮定し, 等しい重みでfitする.
残差の二乗和(SSR)は
SSR=i∑(mi−p∑Hipθp)2
と表せ, 最小二乗解 θ^ は次の条件を満たす.
∂θq∂SSRθ=θ^=−2i∑Hiq(mi−p∑Hipθ^p)=0
⇒i∑Hiqmi=p∑i∑HiqHipθ^p
⇒(HTm)q=p∑(HTH)qpθ^p
したがって, 最小二乗解を得るために解くべき方程式は
HTm=HTHθ^
となる.
以降, N=HTH , g=HTm と表すことにする.
ところで N は次のような実対称行列となる.
N=HTH=cosϕ0sinϕ0z0cosϕ0z0sinϕ0cosϕ1sinϕ1z1cosϕ1z1sinϕ1⋯⋯⋯⋯cosϕn−1sinϕn−1zn−1cosϕn−1zn−1sinϕn−1cosϕ0cosϕ1⋮cosϕn−1sinϕ0sinϕ1⋮sinϕn−1z0cosϕ0z1cosϕ1⋮zn−1cosϕn−1z0sinϕ0z1sinϕ1⋮zn−1sinϕn−1=∑i(cosϕi)2∑icosϕisinϕi∑izi(cosϕi)2∑izicosϕisinϕi∑icosϕisinϕi∑i(sinϕi)2∑i