大強度陽子加速器施設 J-PARCでは、(反)ストレンジクォークを1つ含むK中間子を大強度のビームとして用いることが出来ます。このような施設は世界でここにしかありません。このK中間子ビームを使うと、ストレンジクォークを2つ、あるいは3つを含むような実に珍しい粒子を作ることが出来ます。
“おなじみの”軽いクォークたちは、強い相互作用(2)の担い手です。ものが壊れずにいられるのは、この強い力がはたらくからなのです。しかし強すぎるために、ハドロンを壊してばらばらのクォークにするには途方もないエネルギーが必要になります。このような系にストレンジクォークを入れると、どうなるでしょうか。ストレンジクォークは軽いクォークに比べると数倍重いため、比較的相互作用が弱くなるという性質があります。
調べるのがとても大変な強い相互作用の世界を、あえて弱い相互作用をするものを埋め込むことで、結びつき方(束縛の仕方)に反映される特徴を調べ、ハドロンの中でクォークがどのように結びついているか、もう少し専門的に言うと、ハドロンを作る真の自由度は何か、ということを調べようとしています。