Unlocking the Universe
with Strangeness
ストレンジネスが拓く、物質創成の謎と中性子星の深淵
What is Strangeness?
私たちの身の回りの物質は、原子核と電子で構成されています。その原子核は「アップ(u)」「ダウン(d)」という2種類のクォークから成る陽子と中性子の集まりです。
しかし、自然界には第3のクォーク「ストレンジ(s)クォーク」が存在します。
この s クォークを含んだ粒子(ハイペロン)を原子核に埋め込んだものを「ハイパー核」と呼びます。 私たちは、このハイパー核を人工的に創り出し、その性質を調べることで、通常の世界では見えない「核力の深淵」や「物質の起源」に迫っています。
図:通常原子核に Λ 粒子(sクォークを含む)が入ったハイパー核
From Micro to Macro
ハイパー核の研究は、極微の世界の話だけではありません。宇宙の巨大な実験室「中性子星」の謎を解く鍵でもあります。
太陽よりも重い星が最期に迎える姿である中性子星。その中心部は超高密度状態にあり、ハイペロンが大量に発生していると考えられています。 地上でハイパー核を作り、粒子間に働く力(相互作用)を精密に測定することで、私たちは間接的に「中性子星の内部構造」を解き明かそうとしています。 重力波天文学とも連携する、現代物理学のホットトピックです。
Two Frontiers
私たちは、日米の最先端加速器施設を舞台に、異なるアプローチで研究を展開しています。
「世界最高精度の電子ビーム」と「世界最大強度のハドロンビーム」。この2つが私たちの武器です。
電子ビームによる精密分光
米国ジェファーソン研究所 (JLab) の高品質電子ビームを用い、究極の精度でハイパー核の質量を測定します。 私たちは高分解能磁気分光器 HES/HKS を独自に開発し、国際チームを主導しています。
主なプロジェクト:
ハイパートライトン・パズルの解明 (E12-19-002)
荷電対称性の破れ (CSB) の検証
ハドロンビームで拓く新領域
茨城県にある J-PARC の大強度陽子加速器施設を利用し、ストレンジクォークを2つ持つ「ダブルストレンジネス系(Ξハイパー核など)」や、稀な反応を探求します。 新型分光器 S-2S を建設し、未知の領域へ挑んでいます。
主なプロジェクト:
Ξ(グザイ)ハイパー核の欠損質量分光 (E70)
p殻系ハイパー核のCSB研究 (E94)
Global & Active Research
私たちの研究グループは、学生が主体となって国際共同研究を推進しています。
米国JLabでの実験シフト、検出器開発、海外の研究者との議論。
物理学の最先端に触れながら、世界で活躍できる実践的な力が身につく環境です。
「海外で実験してみたい」「大きな装置を動かしたい」という熱意ある学生を歓迎します。
Q&A for Students
大丈夫です!国際共同研究の中で、自然と英語を使う機会が増え、実践的なコミュニケーション能力が身につきます。最初は皆不安ですが、先輩やスタッフがサポートします。
必須ではありません。C++やPythonを用いたデータ解析、シミュレーションなどは、配属後に基礎から学びます。論理的な思考力があればすぐに上達します。
いつでも歓迎です!実際に実験装置を見たり、大学院生と話したりすることで、研究室の雰囲気を感じてください。下記の連絡先までお気軽にどうぞ。
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